「部下が何を考えているのかよくわからない」と思ったことはありませんか? 部下を指導するのは管理職の大切な職務。ですが、世代も価値観も性格も違う。ましてやあなたの部下が正社員だけとは限らず、派遣やパート社員という場合もあるとすれば、仕事に対する考え方や向き合い方が違ってくるのも当然とも言えます。
そんなチームをまとめて成果を出さなければならない今、トップダウン型のリーダーシップだけでは難しい時代になってきているのです。
■ 相手の気持ちに寄り添うには?
そんな時にカギとなるのが、相手の考えや想いを感じ取る力です。相手と同じように考える必要もないし、100%共感して支持する必要もありませんが、やはり相手の気持ちに寄り添うことで、部下はあなたにわかってもらえていると感じ、信頼し、安心して、仕事に励んでくれることでしょう。
それでも「部下の気持ちがわからない」ときには、どうすればよいのでしょう。お勧めの方法は、フレデリック・パールズのゲシュタルト療法のひとつで、“エンプティチェア(空の椅子)”と言われる方法です。
まず、2つの椅子を向い合わせにします。一方にあなたが座り、向かいの空の椅子には、あなたの部下が座っていると仮定します。そしてそこにいる部下に向かって、あなたが伝えたいことを声に出して伝えます。
次に役割を交代します。今度はあなたが部下の椅子に座り、そこから、空の椅子に座っているあなたに向かって言葉を返します。その時、その部下になりきって感じたことや伝えたいことを声に出して伝えるのです。
■ 役割を交代して相手への理解を深めよう
こうやって実際に相手の椅子に座り役割を演じることで、これまであなたが気づかなかったことに気づいたり、その人になりきることで相手がこう感じているのかな? と推測でき、相手への理解が深まるのです。
また役割を何度か繰り返すうちに、二人の関係をこれまでとは違う視点で捉えられるようにもなります。椅子を近づけてみたり遠ざけてみれば、互いにとって心地よい距離感を感じることもできますね。
「相手の立場に立つ」ならぬ「座ってみる」ことで相手への理解を深めてみる。ぜひ、一度やってみてください。
[執筆:高橋 雅美(心理カウンセラー) ]