Close
「とるだけ育休」の夫を変えるには? 保育専門家が伝授
Home » 子育て » 「とるだけ育休」の夫を変えるには? 保育専門家が伝授

「とるだけ育休」の夫を変えるには? 保育専門家が伝授

筆者は、保育・子育てセミナーで延べ20,000人に対しイライラ解消法を伝えてきました。最近のセミナーでは、夫の「とるだけ育休」対して不満を抱き、「イライラしてしまう」と悩む妻の相談が多くなりました。そこで今回は、イライラを解消し、夫の育児休暇を最大限に活用するための方法を紹介します。

 

夫の「とるだけ育休」にイライラ

待ちわびたベビーの誕生にこの上ない幸せを感じた日。それなのに、夫の「とるだけ育休」にイライラが募っている、なんてことありませんか? 出産直後は、夫婦にとって非常に重要な時期です。夫婦2人の生活が、出産によって大きく変化していきます。子ども中心の生活になり、妻は子どもの母になります。女性にとって、お腹を痛めて産んだ我が子の存在は何よりも大切なものになるでしょう。だからこそ、出産直後に夫が家族にどう関わっていくかは、その後の夫の立場に大きく影響を与えることになるのです。

令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、令和4年4月1日から段階的に施行され始めます。これまで以上に夫の育児休暇が取得しやすい時代になっていくでしょう。ところが、今、妻の不満要因として浮き上がってきているのは、夫の「とるだけ育休」問題です。何をする為の育休か、その目的を理解せずして休暇を過ごす夫の行動は、産後妻にとって目に余るようです。家事の負担が減るどころか、育児に加えて「夫の世話」までともなれば、妻の怒りが燃え上がるのも当然です。

 

イライラしても夫は変わらない

慣れない子育ての不安や疲れなど気持ちに余裕がなくなると、感情のコントロールはできなくなってしまいます。また、些細なことに過敏に反応してしまうので、夫の行動一つ一つが目につき、イラっとするかもしれません。それは自分が「こんなに頑張っているのに」「夜中に何度も起きているのに」「自分のことは後回しにしているのに」なんで、夫はその気持ちに気づいてくれないの! と、不満を感じたり、辛くなったり、悲しくなったりするからです。そのマイナスな気持ちが怒りを誘発するのです。イライラや怒りの感情は、思った以上に自分の心と身体を傷つけます。ママの気持ちはダイレクトにベビーに伝わります。ママにとってもベビーにとっても、良い状態とは言えませんね。

それにね、あなたがどんなにイライラオーラを放っていても、残念ながら夫は変わってくれません。それどころか、怒りは伝染する性質があるため、夫までイライラ状態に陥る可能性もあります。あなたにとって大切なのは、夫婦のイライラを増やすことではなく、イライラを手放す方法を探すことです。少しでも、育児が楽になる方法を選ぶことなのです。

 

「困った夫」を「役立つ夫」に変える方法とは?

ただ、ここで考えてほしいのは、役に立たない「とるだけ育休」になったのは、夫だけの問題なのか、ということです。あなたは、出産前の夫の家事能力を把握していましたか? 今更の話にはなりますが、産前にしておくべきことは夫の家事能力あげる努力をしておくこと。なぜなら産後すぐに、実践力として活かすことができるからです。育児休暇中、夫にどんな役割を担ってほしいのか、さらにその役割の具体的な方法や行動についての詳細を丁寧に伝えておけばよかったのです。

「今さらそんなこと言われても……」と諦める必要はありません。今からでも大丈夫。夫を頼りにしている気持ちを素直に話し、協力してほしい内容を具体的に伝えましょう。ゲームではなく、育児をするための育休であること、育児が無理なら家事全般を任せたいと思っていること、夜中の授乳で寝不足になるから日中は睡眠をとらせてほしいこと、など丁寧に伝えます。言葉にしないと伝わりません。「なんでわからないの!」と怒るより「○○をしてほしい」とリクエストする方が確実に伝わります。困った夫の「とるだけ育休」を「役立つ育休」に変えるのは、あなたの言葉の使い方次第です。

 

まとめ

夫の「とるだけ育休」問題を解決できれば、第二子出産以降の子育てにも良い影響をもたらします。夫の家事力と育児力の強化は、共働き時代の必須条件です。

困った夫のまま放置すれば、必ず妻の負担は大きくなります。できれば、出産前に夫の家庭教育をお勧めしますが、出産直後でも十分間に合います。今後のより良い夫婦関係と穏やかな育児環境を整えていくためにも、自分の素直な気持ちと、してほしいことを具体的に伝えることが大切です。気持ちと欲求が伝われば、無駄にイライラすることはなくなり、夫への不信感が信頼感にかわります。長い人生を共に歩むパートナーになれるかどうか、ここが人生の分かれ道と言えるかもしれません。

[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]

※画像:buritora / PIXTA(画像はイメージです)

Close