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学童期の子育て 親子で意見が対立したらどう対話する?
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学童期の子育て 親子で意見が対立したらどう対話する?

子どもは成長とともに様々な希望、願望を親に要求してきます。親としては、叶えてやりたい気持ちがあっても、そのすべてに応えることはできませんよね。それに親として、「それは間違っている」と感じたことは、毅然とした態度で要求は受け入れられないと伝えることが必要なときもあるでしょう。でも、それが原因で子どもが反抗的になったり、会話がなくなったら元も子もありません。今回は、親子の意見が対立したときの対応法についてお伝えします。

 

親の心、子知らず

どんなに子どものことを愛していても、時に子どもの憎まれ口にイラっときたり、ムカッとしたりすることもあるのではないでしょうか。親としては子どものためを思ってのことなのに、どうしてそれが伝わらないのかと、もどかしく感じることもあるかもしれませんね。

子どもの何倍も人生を歩んできた親は、「それをするとうまくいかないよ」「もう少し○○すればいいのに」と、つい結果を想像して子どもの行動にSTOPをかけることがあります。それは、子どもを思う親心からですが、学童期ごろの子どもからすればただの迷惑だと感じることもあるようで、「うるさいな!」「放っておいて!」と反発されることがあります。

そんなとき「あなたのことを、こんなに心配しているのに」「あなたのためを思って言っているのに」と、思えば思うほどモヤモヤしたり、さらなる怒りを呼び込んだりしてしまいます。

 

子の心、親知らず

学童期の子どもたちは、小学校入学から卒業まで6年間かけて著しく成長していきます。学力、体力が上がります。自分と他者の違いを意識するようになったり、集団での規則に沿って行動できるようになったりします。高学年になってくると「ギャングエイジ」と呼ばれるような親への反抗的な態度が目立つようになる子も見られます。これらは、子どもが自立していく上でとても重要な時期なのですが、その変化に親のほうがついていけず、どう接していいか迷うこともあるかもしれません。「つい言い過ぎた」「怒りすぎてしまった」などは、子どもの内面の成長を阻害する関わりになってしまうので注意が必要です。子どもなりに、自分をとりまく社会の中で楽しいことや嫌なこと、様々な気持ちを調整しながら生活しています。それを親が受け止めてあげると子どもは安心して、親と離れた場所でも頑張ることができるのです。

 

子どもをコントロールすることはできるのか?

残念ながら、子どもをコントロールすることはできません。人は自分以外の誰かをコントロールすることはできないからです。それが、たとえ親であっても、子どものすべてをコントロールすることは不可能です。「怒ることで子どもを思い通りに動かすことができるのではないか」と、考える人もいるかもしれませんが、それは無理です。学童期のうちは自分よりも親は立場が上だと認識しているので、親の言いなりかもしれませんが、のちのち青年期に入ってくると、そのマイナスな反動が親子関係に大きく影響してくるからです。子どもをコントロールできるのは子ども自身です。つまり、子どもが自分でコントロールできるようになれば、子どもは変われると言えます。

 

意見が対立したときの対応法

この学童期に、子どもと意見が対立したとき、無理やり親の意見を押し付けてしまうと、その後は親に隠れての行動が増える可能性があります。そうならないために大切なのは、「最初から否定しないこと」です。

親には親の考え方があるように、子どもには子どもの考え方があります。たとえ未熟であったり、浅はかだったりしたとしても、子どものなりに考えた意見だということを一度受け止めるようにしたいですね。「あなたは、○○だと思うんだね」「あなたは、○○したいと思っているんだね」「あなたは○○が違うと思っているんだね」など、子どもの言葉をそのまま返すだけでOKです。それをした後で、親の考えを伝えるようにしましょう。

 

「私+メッセージ」のセリフを作る

親のメッセージの伝え方にはポイントがあります。それは、「私」を主語にしてセリフを作ることです。「あなたは、○○できると思っているんだね。わかったよ。今、お母(父)さんは○○した方がいいと思っているよ」という具合です。「あなたの考えは間違っている。お母(父)さんの言うことを聞きなさい」と比べてどうでしょう? ずいぶん、受ける印象が違うのではないでしょうか?

落としどころは、お互いに納得できる取り決めにする

子どもの意見をいったん受け入れ、自分を主語にしたセリフで親の気持ちや意見を伝えた後は、それぞれの意見のすり合わせを行います。「あなたの要求のすべては受け入れられないけど、○○までならOKできるよ。それで納得できるかな?」という具合です。分かりやすいイメージで言えば、「全部はダメだけど、これなら許せるよ。これでお互い手を打ちませんか?」という感じです。必ず、「これでどうかな?」と確認をすること。子どもが納得できないようなら、もう一度、条件を見直してみること。ただ、親側が全て妥協する必要もないので、子どもにも「ここまでだったら大丈夫」のラインを考えてもらうことです。

 

まとめ

意見が対立したときに、これらのポイントを踏まえながら、親子が共に納得できる方法を見つけることができれば、子どもは自分でその方法を試すことができます。もし、方法を試した後、うまくいかなかった場合は、再度、調整することも必要です。初めは面倒かもしれませんが、慣れてくると親子でそのやりとりが上手になるので、スムーズに提案、交渉し合えるようになります。このようなやりとりが日常的にできるようになれば、例え100%子どもが間違っていて「それは絶対ダメ」と伝えたときにも、納得してもらえるようになります。それは、普段自分の意見を聞き入れる努力をしてくれている事実があるから、可能になることだと思うのです。

学童期に親子で意見のすり合わせをする習慣をつけていれば、のちの思春期でも親子関係は心地よい状態を保つことができるでしょう。

[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]

※画像 : parinyabinsuk / PIXTA(画像はイメージです)

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