人は頭の中でひとり言を言っています。一日の中でなんと4~6万回ひとり言を言っているともいわれています。あなたは、どんなことを頭の中でつぶやいていますか? 頭の中のいつものひとり言を少し変えることで、前向きな自分でいられるようになります。どんな言葉をどのように変えていけばいいか、心理カウンセラーがお伝えします。
頭の中のひとり言の影響力
一人でいるときも、誰かと一緒にいるときも、人は頭の中でひとり言をつぶやいています。これをセルフトークや、自分自身の心の声と言ったりしますが、何気なくつぶやかれている頭の中の言葉は、とても大きな力を持っています。頭の中でつぶやかれている言葉は、潜在意識に働きかけているからです。つまり、普段意識していないにも関わらず、自分はどういう人間かという自己概念を作ってしまいます。気づかずに口癖のようにネガティブな言葉を使っていては、どんどんマイナス思考になって負のループから抜け出せなくなります。しかし頭の中のひとり言は自分の意思で変えていけます。影響力がとても大きな言葉ですが、日頃のちょっとした努力で、マイナス思考から抜け出し、前向きな自分に変えていくことができます。
これらの言葉には要注意!
一度時間を区切って、自分の頭の中の言葉を書き出してみましょう。いろんなことを話しているのがよくわかります。その中で、以下のような言葉を使っていませんか?
・私なんてまだまだ
・あ~もうダメだ
・もし失敗したらどうしよう
・やばい、またやっちゃった
・まじ、ほんとだるいわ
・どうせ幸せになんかなれないのよ
・なんでいつもこうなるの
・だって向こうが悪いんだもん
こういう言葉は口癖のようになっています。意識せずにどんどん湧いてくるので、とてもたちが悪い言葉です。このような言葉を使っていると、謙遜しているようで自己肯定感を低くしたり、自分に不幸呪縛をかけたり、他責思考になることで幼稚な自分を助長させたりします。またこれらの言葉は、不安や緊張、焦り、嫌悪感を引き起こし、負のループにはまってしまうのです。
どのような言葉を使うようにしたらいいの?
では、ネガティブで要注意な言葉から、どのような言葉に変えていけばいいのでしょうか。
・自分なりにここまでやってきたよね
・自分が思っているよりも、大きな問題じゃない
・大丈夫、大丈夫、何とかなるって
・失敗したって、いつでもやり直せるよ
・まあ、焦っても仕方ない、ゆっくり行こう
・きっとうまくいくときがくる
・どうしたらよくなるか考えて見よう
・前よりは良くなったな
さらに、ものすごくポジティブな言葉もあります。
・自分は絶対デキる
・最高ー!
・よ~し絶好調
・さすが自分はすごいぜ
日常の生活の中では、このようなポジティブすぎる言葉は馴染まないかもしれません。あまりにも自分とかけ離れていてしっくりこない場合は、潜在意識に届きにくいので、自分が心地よくなる言葉を探して下さい。
頭の中のひとり言を変換するときのポイント
ポジティブな言葉を使わないといけないと思い込むと、いつもの口癖が出てきたとき自分を責めてしまいます。しかし長年に渡って染みついた口癖は、そう簡単に変えることはできません。また、ネガティブな言葉も人間であれば当然出てきます。人はいろいろな物事に反応して感情が出てきます。いつもポジティブでいなければいけないわけではありません。つまりネガティブな言葉を無くすのが目的ではなく、ネガティブな言葉が出ても、その後に前向きになれるような言葉をつぶやけることを目指していきましょう。
ではそのポイントですが、ネガティブな言葉が出てきたとき、たまにはこういう気持ちにもなるよねと、まずはその気持ちを肯定してあげます。その後、自分のプロセスを認めてあげる言葉や、安心できて落ち着けられる言葉など、あなたが心から大事にしたいと思う人を元気づけるような言葉を、自分に優しくつぶやきます。
そして、ネガティブな言葉がでる原因となった出来事に対して、一旦終了メッセージをつぶやきます。例えば、「さあこれで終わった」とか「よしOK」など気持ちの切り替えの言葉を用意しておきましょう。最初はなかなか変化に気づきにくいのですが、あまり焦らず、また完璧にしようとせず、「できるときにやっていこう」くらいの気持ちで続けていくと、あるときネガティブな言葉が少なくなって、前向きな自分になっているのに気づくでしょう。
[執筆:上土井 好子(公認心理師・心理カウンセラー)]
※画像:PIXTA(画像はイメージです)