イライラしている人が近くにいると、それだけで居心地が悪くなってしまいませんか? 親がイライラしながら子どもに関わることは、子どもにとっていい環境とは言えません。子どもが親の顔色をうかがったり、ビクビクしながら過ごす毎日は親子共につらいですね。そこで今回は、イライラしがちな人がイライラを手放すためのおススメの言葉を3つ紹介します。
イライラはエネルギーの無駄使い?
イライラ状態が続いていたり、激しく怒ってしまった日には、「疲れたなぁ」と感じるのではないでしょうか? 実はそれ、あなたの大切なエネルギーが怒りによって蝕まれてしまったからかもしれません。イライラや怒る状態になるには「怒り」の感情が大きく影響しています。「怒り」の感情は、他の「喜び」「哀しみ」「楽しみ」といった感情と同じなので、「怒り」を感じること自体、悪いことではありません。ただ、その怒りによって自分や周りの人にネガティブな影響を与えているのであれば、その怒りは手放したほうが健康的と言えます。あなたが持っている限られたエネルギーを無駄な怒りに使う必要はないのです。
イライラしたときは「カモ」
無駄な怒りを手放して、気持ちをリセットするために使えることば、1つ目は「カモ」です。イライラするとき、私たちは、「~にきまってる」「絶対~だ」「なんで~なったんだ」「それ間違ってるよね!」など、無意識に自分の価値観や考え方を前面に押し出しながら物事を考える癖があります。それはある意味、自分側からの一方的な物の見方と言えます。イライラ状態から解放され気持ちを楽にしたいなら、一度立ち止まって「もしかしたら~カモしれない」と考えてみると良いでしょう。
例えば、レジで順番をぬかされたとき、「絶対にわざとだ!」「なんでルールを守らないんだ!」とイライラする前に「もしかしたら気づかなかったのカモ」「子どもが熱を出して家で待っているのカモ」と、考えてみましょう。視点を切り替えるだけで、怒りの沸点はかなり下げられるし、イライラの感情をコントロールしやすくなります。
過去の怒りを手放せないときは「おかげ様」
過去の怒りを根に持って、いつまでもイライラを止められない場合に使えることばは「おかげ様」です。実は、怒りの感情とは、上手に付き合えれば自分を高めてくれる大きなエネルギーになってくれる感情なのです。人生の成功者と言われる方の対談などで、「過去のつらい経験、悔しい経験をエネルギーに変えて頑張ってきた」お話を聞いたのではないでしょうか。怒りと隣り合わせのネガティブな感情を、ネガティブなエネルギーではなく、自分を高めるポジティブなエネルギーに変換して行動を起こした結果、手に入れた成功なのでしょう。
つまり、過去のつらい経験、悔しい経験のおかげで、大きなエネルギーを味方につけて自分の行動を変えられたわけです。過去に起こった出来事を変えることはできないけれど、その出来事に対する解釈の仕方は変えられます。そして、解釈が変われば、現在から未来への向き合い方も自然に変わってくるでしょう。過去の「おかげ様」と考えてみることで、自分を動かすエネルギーを作り出せるのです。
イライラでつらいときは「大丈夫」
「カモ」でも「おかげ様」でも、気持ちを切り替えられないときは「大丈夫」を使いましょう。好き好んでイライラしている人は少ないですよね。それでもイライラするのは、不安があったり、不満があったり、しんどかったり、辛かったり、困っていたり、忙しかったり、大変だったり… そんな気持ちが心いっぱいになっているからではないでしょうか。もしかしたら、簡単に解決できない問題をかかえているのかもしれませんね。でも、その状態が長く続くと、心も身体も悲鳴を上げてしまいます。
だから、まずは、「大丈夫だよ」と自分に声をかけてあげてください。イライラしている自分を否定するのではなく「私は頑張っている! 大丈夫、私はわかってるよ」と、自分の味方になってあげましょう。そして、できるなら話を聞いてくれる人を見つけてください。子育ての専門家やカウンセラーでもいいですし、信頼できる友達でもいいでしょう。今の悩みに応じて話せる相手を探してください。まずは自分の心のケアをしてあげましょう。
まとめ
親のイライラは確実に子どもに伝染します。家族でイライラが増幅すると、そこはもう落ち着ける環境ではなくなってしまいます。まずは「カモ」と「おかげ様」を試してください。それと並行して、自分を認めてあげる「大丈夫」の言葉も使っていきましょう。「大丈夫」は、自分だけでなく子どもたちにも有効です。子どもの様子がいつもと違うなと感じたとき「大丈夫?」と一言声をかけるだけで、安心感が広がります。「大丈夫」は愛ある魔法の言葉です。ぜひ試してみてくださいね。あなたがイライラから解放されますように…。
[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]
※画像:shu / PIXTA(画像はイメージです)