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親が認知症で介護が必要…でも絶対に仕事は辞めないで!
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親が認知症で介護が必要…でも絶対に仕事は辞めないで!

介護のために仕事を辞めてはいけません!

親の介護は、娘だから息子だから当然だと、何よりも優先してするべきだと思い込んでいませんか? もちろん自分を産み育ててくれた両親には、感謝の気持ちを忘れてはなりません。ですが、自身や自分の家族の生活も大切にしなくてはいけません。この先、どれだけ続くか分からない介護を、仕事と両立していくのはとても大変なことです。でも仕事を辞めて介護に専念すると、「依存されること」も「期待されること」も多くなってしまう傾向があるのです。また、介護はいずれ必ず、終わる時が来るのです。だからその先の未来を見据え、今現在、自分の生活・仕事と介護の両立が難しくても、介護のために仕事を辞めてはいけないと筆者は伝えたいです。この記事では、一人で頑張りすぎることなく仕事を辞めずに対応できる方法を、健康管理士・心理カウンセラーである著者が、自身の家族介護の経験と、ケアクラークの知見をもとにお伝えします。

 

親の介護はチームで行いましょう

介護のために頑張りすぎて、自身の健康を損なっては元も子もありません。自分一人で頑張るのではなく、兄妹姉妹や自分の家族などにも協力を求めることも大切です。 信頼できる相談相手となるケアマネージャーさんを選任し、上手に介護保険制度・介護サービスを利用するなど、チームで情報を共有して役割分担しながら介護するのが理想です。また、介護される本人もチームの一員として、残存機能を活かすためにも、できることは時間がかかっても自分で行うよう促すなど、介護しすぎないよう心がけましょう。介護される本人ができることを介護者が手伝ってしまうと、その後は介護者が行うことになり、本人ができなくなることを避けるためです。

 

介護する人を支える制度を上手に利用しよう

「事業主は介護休暇申請を拒否できない」「介護休暇を取得しても解雇される理由にならない」ということが、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(※1)で定められています。解雇だけでなく、降格や減給逍遥の削減といった労働者側が不利益を被ることも同法律にて禁止されています。その他、厚生労働省によると介護と仕事の両立支援制度として介護休業、介護休暇、短時間勤務等の措置、所定外労働の制限、時間外労働の制限などの制度があるそうです。

以上のように、働く人の強い味方となる法律や制度が確立されているのですから、職場に家族の介護を行っていることを伝え、必要に応じて勤務先の仕事と介護の両立支援制度を上手に利用することをお薦めします。制度を利用させてもらえない場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ相談できるようです。

■1.有給休暇とは別の介護休暇制度
介護休暇とは、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族の介護や世話をするための休暇のことで、労働基準法の年次有給休暇とは別に取得できる制度。有給か無給かは会社の規定によるとのことです。

■2.介護休業制度
介護休業とは労働者が要介護状態負傷疾病又は心身身体上もしくは精神上の障害により2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するための休業制度です。

■3.介護休業給付金制度
介護休業給付金とは雇用保険の制度で、家族の介護のために休職する場合、給料が最大で67%支給される制度です。

以上、3つの制度についてご紹介させていただきました。他にも支援制度はいろいろあるので、仕事と介護の両立を諦め介護離職(家族を介護するために労働者が仕事を辞めること)を選択しないよう「介護する人を支える制度」を上手に利用できるといいですね。

 

介護する自分の心と身体のケアも忘れずに

仕事と介護の両立は、誰にとっても難しいことです。なかでも最も厳しいのは、時間に余裕がなくなり心が辛くなることです。 著者も「あれもしなきゃ、これもしなきゃ、という気持ちばかりが焦り、やらないといけない事がうまくできないうちに時間だけが過ぎていって疲れ果ててしまう」という時期がありました。頑張りすぎて自身の健康を損なってしまっては、介護どころではありません。少しでも「しんどいな」と思った時には、頑張るのではなく休養することを選択してください。一時的に介護から解放される時間を作るレスパイトケアを利用するのも一つの方法です。家族介護はいつまで続くかわからないけど、必ず終わりが来るのです。だから時にはお休みしながら、気持ちに余裕を持って仕事と介護の両立を実現させましょう。

[執筆:林 裕美(健康管理士/心理カウンセラー)]

【註】
※1. 厚生労働省ホームページより「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(令和4年4月1日施行、令和4年10月1日施行、令和5年4月1日施行)

※画像:bee / PIXTA(画像はイメージです)

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