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子どもと片付け習慣…保育士が保育園で行う片付けの方法
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子どもと片付け習慣…保育士が保育園で行う片付けの方法

不思議に思ったことはありませんか? 保育園では片付けの時間が来たら一斉に子どもたちが片付けを始めます。家ではいくら言っても片付けようとしないのに、なぜ、保育園の先生が一声かければあんなにスムーズに片付けが始まるのでしょうか? 今回は、元保育士で感情保育研修の専門家である筆者が、家庭でもできる片付けをするときのささやかな工夫をお伝えします。

 

子どもも知っている園の生活リズム

保育園の生活は、登園時から降園時まで特別な行事がない限り毎日ほぼ同じ流れです。各年齢の発達に合わせて生活リズムを崩さずに保育することを心がけています。3歳未満児ですと、[朝の遊び→おやつ→遊び→昼食→午睡→おやつ→遊び→降園]が大まかな流れです。乳児クラスであれば、朝寝が必要な子どももいます。

3歳以上児になると、午前の補助食が不要になりますので、[朝の遊び→クラス活動(設定保育)→昼食 →午睡→おやつ→遊び→降園]が大まかな流れです。活動の合間に年齢ごと必要に応じて排泄、着替え、歯磨きなど生活習慣を身に付ける活動の時間があります。年長クラスになるとクラスや園のために当番活動を行ったりします。また、就学に向けて午睡をとらず活動時間を増やしている園もあります。

 

生活リズムを整える良い効果とは

子どもにとって、睡眠や食事、遊びは生活リズムを整えるための軸になるものです。毎日の園生活で熱中して遊ぶことを満喫し、栄養バランスの取れた給食を食べ、午睡時間に十分な睡眠をとることで、その日の夜もしっかり眠れるのです。翌日もこのリズムを無理なく送れるために、親が家庭でできることは、早寝早起きを意識した生活をすることです。保育園と協力して生活リズムを整えることで、子どもの心身の健康を保てるだけでなく、集中力を養ったり、イライラしない安定した心の状態を保障したりできるのです。

 

片付けをする時間の伝え方の工夫とは

保育園で片付けをするタイミングは、次の活動に移るタイミングです。毎日を同じ流れで生活していると、子どもの中の体内時計も整っているため、無意識に「次は給食だな。給食のあとはお昼寝だ」と理解できるので、生活に見通しが持てるようになります。保育園では、この「次の活動への見通しが持てる」力を育むことも大切にしています。そのためには、少し早めに声かけをすることも必要ですし、片付けだけを目的にするのではなく、その先にある楽しい活動を意識させながら、意欲的に片付けができるような声かけの工夫もしています。

例えば、「今日は、11時15分(長い針が3,短い針が11)に片付けるよ。今日の給食は、大人気のチキンカレーだから楽しみだよね!」「今日はお昼寝の前に、みんなが気になってる昨日の続きのお話絵本を読むから、12時45分には片付けようね」などのイメージです。突然、前触れもなく「片付けなさい!」と命令されるより、ちょっとした工夫をするだけで、子どもの心の準備や次の活動への期待が膨らみ、片付けへの意欲が高まっていきます。

 

大勢の子どもたちが自然に片付けだす方法とは

突然ですが、駅のホームでメロディーが流れると「あ、電車が入ってくる」と自然に思っていることはありませんか。他にも、夕方、遠くの空からメロディーが流れてくると「今日も一日が終わるな~」と感じたりする経験、あなたにも心当たりがあるのではないでしょうか。筆者が保育士時代に行っていた工夫は、この「自然に片付けの時間だな~」と思える状態を作る方法です。保育の歌には、「片付け」をテーマにした歌がいくつかあります。そのテーマ曲を片付け始める1~2分前から小さな音で流し始めるのです。子どもたちは、曲が流れ始めると、遊びの時間が終わりに近づいていることに気づき、時計を見始めます。トランプが途中の子どもたちは「あと1周ね」と話し、ブロックで遊んでいる子は、作品を飾るための棚に作ったものを並べ始めます。ままごとをしている子は、大急ぎで食事をすませるよう子ども役の友達に声をかけます(笑)。子どもは、片付けを始める前の心の準備を整えているようでした。

 

まとめ

今の時代は、様々なアプリを活用して、生活の中で自由に音楽が楽しめる時代です。検索すれば、片付けをテーマにした曲を見つけることもできるでしょう。もちろん、片付けの曲でなくてもOK。子どもが大好きな曲で大丈夫です。子どもと一緒に片付けのテーマ曲を決めてもいいですね。ご飯の前にはアップテンポの曲、夜寝る前にはオルゴール調の曲、など時間帯に合わせてタイプの違う曲を選んでもいいでしょう。

そして、一番大事なのは、片付けができたとき、「きれいになったね! 片付けが自分でできたね!」と、子どもの頑張りを言葉にして伝えてあげることです。片付けたらきれいになる、片付けたら気持ちがいい感覚を言葉で伝え、気づかせてあげましょう。時間があるときには、親も一緒に片付けることで、さらに子どもの意欲は高まりますよ。ぜひ試してみてくださいね。

[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]

※画像 : maroke / PIXTA(画像はイメージです)

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