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元保育士が伝える、子どもの「後伸びする力」の育て方
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元保育士が伝える、子どもの「後伸びする力」の育て方

小学校に入ると、カリキュラムに沿っての勉強が始まりますね。テストが返ってくるたびに「うちの子は勉強ができない」「バカなんだろうか?」と悩んでいる保護者の方必見です。それ、子どもの後伸びする力を育むことで解決できるかもしれませんよ。今回は、子どもの学びの意欲を高める後伸びする力について、元保育士で感情保育研修の専門家である筆者がお伝えします。

 

頭ごなしの怒り方でつぶしかねない子どものやる気

テストの点数は、子どもの現状を突き付けられる物的事実ですよね。その良し悪しによって、親としては期待もすれば不安になったりすることもあるでしょう。塾にも行かせ、宿題もさせているのに点数に結びつかないと、怒りたくなる気持ちも分かります。きっと子どものことを心配しているからこその怒りでしょう。でも、ただ頭ごなしに怒ると、子どものやる気は急下降します。

 

後伸びする力とは?

今回は、そのような悩みが少し軽くなる「後伸びする力」の話をします。後伸びする力とは、読んで字のごとく、「後から伸びてくる力」のこと。例えば、自分で「できるようになりたい!」と思うような自立しようとする力。また、「もっと知りたい、わかりたい!」と思うような探究心や向上心ともいえるでしょう。さらに、辛いときや苦しいときなど何か問題が起こったときに諦めず乗り越えようとする自己効力感のことでもあります。

 

勉強にも関係してくる後伸びする力

つまり、これらの力を含む後伸びする力は、子どもの様々なチャレンジにおいて支えとなる心の在り方であり、大きなエネルギーになる力なのです。勉強やスポーツ、その他習い事などすぐに結果が出なくても、目標に向かってコツコツと実力を積み重ねていける子どもに育っていくのです。

 

後伸びする力の種

後伸びする力は、小さな種をどう育てるかだと思うのです。子ども一人一人、誰もが持っている後伸びする力の種。この種が芽を出すタイミングは、一人ひとり違います。そのタイミングが来るまで、栄養たっぷりの土壌で英気を養っているイメージです。芽が出るには、栄養たっぷりの土壌と愛情たっぷりの水とあたたかい太陽の光が必要です。その土壌となるのが幼児期や学童期の経験、水や太陽の光が子どもをとりまく親や保育者、教育者の理解しようとする向き合い方だと思うのです。

 

後伸びする力をつけるために必要な経験

後伸びする力をつけるために必要なのは、幼児期に熱中して遊んだ経験だと言われています。動的活動、静的活動、様々な興味ある何かに熱中して遊ぶことで育まれる力はたくさんあるからです。体力、思考力、集中力、興味関心、想像力、発想力、好奇心、意欲、気力、協同性、協調性、柔軟性、挫折から立ち直る力など、遊びを通して様々な力を身につけていくのです。それだけ、子どもにとっては遊びが重要なのです。体力を使って遊ぶこと、体の機能を活かして遊ぶこと、思考を働かせて遊ぶこと、人と関わって遊ぶことなど、様々なあそびを体験し、好きなあそびに集中して取り組むことこそ子どもの後伸びする力に必要な体験です。この経験が栄養たっぷりの土壌となってくれるでしょう。

 

後伸びする力を育む方法

それと同じように大切なのが親や保育者、教育者のかかわり方です。そこで提案なのですが、つい先回りして口を出してしまいがちな毎日をやめてみませんか? 子どもが考えて動ける声かけに変えてみる方法を取り入れてみましょう。例えば、「~しなさい」「~ダメでしょ」から、「~するにはどうしたらいいかな?」に変えてみる、他にも、子どもたちから「~教えて」と言われたときに「あなたはどう思う? どんなふうに考えてるのかな?」と、まず子どもの考えを聞いてみる、などです。親主導ではなく、子ども自身で考えて行動できる力を育めるといいですね。

親にとっては、もどかしいこともあるかもしれません。ですが、子どもの気持ちを尊重して、子どもが考えて行動するタイミングを見守ってあげることで、子どもの後伸びする力は育まれていくでしょう。

 

まとめ

後伸びする力の種は誰もが持っています。そのことをいつもそばにいる親が知っておくことは大切です。そして、その種がグーンと大きくなるまで、焦らず、怒らず、土壌を肥やすための経験をたくさん積ませてあげられるといいですね。それは、どこかに行って何かをしなければならないわけではありません。日常で出会う様々な出来事、遊びに熱中できる経験でいいのです。自分が好きなこと、楽しいと思えることをするとき子どもは主体的に遊んでいる状態です。そのとき、「これをやってみよう!」「こんなことしたら楽しいかも」と、子どもは思いを巡らせ、試行錯誤しています。その時間を、親は邪魔せずその体験を満喫させてあげられると子どもの後伸びする力につながり、未来の学習活動にも良い影響となって表れてくるはずですよ。

[執筆:野村 恵里(子育て・保育専門研修講師)]

※画像 : y.u-stable / PIXTA(画像はイメージです)

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