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定年退職前に「副業」を考えておきたい理由とは?
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定年退職前に「副業」を考えておきたい理由とは?

定年退職後の人生を考える必要性

終身雇用が当たり前の時代を過ごしてきた方々にも、そろそろ定年退職の時期が近づいてきています。人生100年時代といわれる現代、定年後の年月をどのように過ごしたいか考えていますか? 退職金と年金で悠々自適な生活を、と考えている方もいることと思います。ですが定年退職を仮に60歳と考えると、残り40年間に給与所得が減り、いずれ年金だけで生活していけるだろうか? 病気になったらどうしよう? など漠然とした不安が浮かんできたりしませんか? そこで、健康管理士・メンタルカウンセラーである筆者が、あなたの定年退職後の人生が変わる考え方をお伝えします。

 

定年退職するまでに知っておきたい3つのこと

1.会社に副業を隠さなくても良い理由
「副業は会社にバレたらヤバい=副業はしてはいけない」と思い込んでいませんか? 「副業禁止」は、副業に労働力が割かれて本業がおろそかになることを防止する理由から、会社の就業規則で定められたものであり、 法律で副業が禁止されているわけではありません。「もし働いている社員が副業を始めたいという意思がある場合、企業は副業を認める方向で検討することが適当である」と厚生労働省の『副業・兼業の促進に関するガイドライン』には書かれています(※1)。 ですから、副業は隠すことではなく勤務先に許可を求めて必要に応じて始めていいことだと考えられます。

2.病気になった時も副業を考えるタイミング
いつも元気で健康で、仕事にプライベートに趣味に全力で挑めたら何も問題はありません。ですが人生100年といわれる現代に、いくつも起こる転換期を乗り越える過程で病気になることもありますよね。実際、筆者も長い療養生活の時期を過ごしました。最近『ストレス脳』(※2)という本を読み、「不安は自然の防御メカニズム」という言葉に、鬱になったのは自己防衛だったのかも? 病気になるには理由があること、「病気になる=本来の自分とズレているよ」という合図だったことに気づきました。長い療養生活の時間は非常にもったいないことにも気づきました。ですので現状を変えるという意味でも、病気になった時も、副業(別な生き方)を考えるタイミングではないでしょうか。

3.副業が会社に替わる居場所になる
最近目にした「仕事人間になると、定年後に場所がなくなるという現実」という言葉にはドキッとしました。定年退職後、どのように過ごそうかと自分なりの計画を持っていた筆者でさえ、50歳を少し過ぎた頃に長い療養生活に追い込まれ、家と会社以外にも居場所が必要なのだと思い知らされました。「人間は複数の居場所を持つことで、うまく生きていける」と聞いたこともあります。

突如起こった世界的な緊急事態である新型コロナ感染症により、働き方を変えざるを得ない状況や失業に追い込まれた方もいると思います。予測できる定年退職時期にも、突如起こる緊急事態にも、副業によって心の安定を図り、収入を得ることができる。退職後の会社に替わる居場所になると考えれば、積極的に副業を始めることがいいのかもと思えてきますね。

 

趣味から始まる副業もアリ

毎日の家事と仕事だけの生活に、疲れを感じていませんか? やらなくちゃいけないことに追われ、つい自分のことは後回しにしてしまう。そんなあなたには、趣味や習い事を始めることをお勧めします。楽しいことができると、そのワクワク感でその他のことも楽にできたりします。 楽しいことを続けるのは難しくないので、趣味から始めて資格を取得して副業に、というのはいかがでしょう。いずれくる定年退職に向けて、趣味から始める副業もありなのではないでしょうか?

 

理想は楽しく生涯現役

実は、50歳を過ぎた頃から「一生続けていける人の役に立つ事をしたい」と考えていた筆者ですが、長期療養で将来の不安ばかりとなり、おまけに鬱まで発症する事態に追い込まれました。しかし実際に、100歳を超えても現役で医師という仕事を全うした聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さん、102歳のピアニスト室井摩耶子さん、80歳過ぎてからアプリ開発をした若宮正子さんなど、80歳過ぎても現役の方がたくさんいらっしゃるのを知りました。それこそ私の理想とするところ。「老後の不安を解消しようと思えば、生涯現役それが理想だ!」と考えるようになりました。

ずっと頑張り続けるのは難しいですが、休みながらでも生涯楽しく現役でありたいですね。生涯現役の人生を過ごすためには、今すぐでなくても来るその時に向けて、頭の片隅にいつも自分の将来の人生を考え、明るい未来を目指して定年退職前に副業を始めることが理想ではないでしょうか。忙しい毎日を過ごして余裕のない中でも、ほんの少しだけ未来に向けて考えてみることも大切だと感じます。

[執筆:林 裕美(健康管理士/心理カウンセラー)]

【参考】
※1. 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」2018年1月策定、2020年9月改定、2022年7月再改定
※2. アンデシュ・ハンセン(2022)『ストレス脳』新潮新書、新潮社

※画像:PIXTA(画像はイメージです)

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