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我が子が不登校になったら、親子関係を見直すタイミング
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我が子が不登校になったら、親子関係を見直すタイミング

不登校は親子の関係を見直すタイミング

我が子が不登校になったら、親子の関係について見直すタイミングかもしれません。筆者は自分の息子が不登校になった経験から、ピンチはチャンスだと実感しています。我が子の不登校に悩むたくさんの人にも、このピンチを良い親子関係を築くチャンスにしていただきたいと願いながら、この記事を書きました。

 

正論は子どもを追い込みます

昭和5年生まれの父と昭和10年生まれの母に育てられた筆者は、子どもは親の言うことを聞くべきだという古い価値観で育てられました。親子は上下関係で成り立っていました。特に母には、いろいろな面で「こうするべき」という思い込みがあり、学校には熱がないかぎり行くべきだと教えられました。だから熱が出ないかぎり、体調が悪いくらいでは学校を休ませてもらえませんでした。

自分の息子が不登校になったとき、筆者にもたくさんの「べき」が発動しました。正論で息子に、学校には行くべきだと教えようとしたのです。しかしやればやるほど親子関係が悪化し、親子ともにエネルギーを消耗するばかりで状況は悪くなっていきました。正論ほど人を追い込むものはないそうです。なぜなら、相手は逃げ場をなくすから。国会中継で、正論を振りかざして相手に詰問する議員を見かけることがあります。見ていても気持ちがいいものではありませんよね。しかし親は、同じようなことを子どもにしてしまいがちです。ではどうすれば不登校になった子に気持ちは届くのでしょうか?

 

傾聴と共感を心がけましょう

子どもが聞く耳をもつには、親が敵ではなく味方だと思えることです。誰だってそうですよね。敵の言うことには従いません。そこでオススメなのが「傾聴」と「共感」です。親として言いたいことも多々あるとは思いますが、それはひとまず横に置いておいて、オウム返しや相槌をうちながら、子どもの話に耳を傾けてみましょう。聴くという字は、耳と目と心という字で構成されていますよね。口出しや否定をしないでしっかり相手の話に耳を傾けることを傾聴と言います。すると「この子も苦しいのだ」「この子も悩んでいるのだ」と子どもの辛さに共感できるようになるでしょう。そうすればきっと子どもも心を開いて、聞く耳をもつことができると思います。その上で「お母さんはこう思う」というように、主語を自分にした「わたしメッセージ」で自分の気持ちを伝えればいいのです。相手の話を聞き、自分の思いも伝えることで冷静に話し合いができるようになるでしょう。

 

親子で肩を並べてWIN-WINの関係を!

でも、そうは言っても顔を突き合わせたら喧嘩になってしまうという人にご提案です。顔を見なければいいのです。向き合わずに横並びはいかがでしょうか。お洒落なカフェの窓際のカウンター席で、好きなドリンクなど飲みながら…とか。カフェでなくても散歩でもいいですよね。不登校の子は家に閉じこもりがちなので、外の空気が吸える散歩は一石二鳥でしょう。

そして何よりも、筆者と息子の関係を劇的に良くしたのは、「夜の買い物」でした。最近のスーパーマーケットは夜遅くまで開いているので便利です。人目を気にして人に会うのを避けていた息子と一緒に、筆者は、夜になってから家から少し離れた店に買い物に行くようになりました。息子のメリットは、好きな飲み物やお菓子を買ってもらえることで、筆者のメリットは荷物を持ってもらえることでした。つまりWIN-WINの関係です。このWIN-WINの関係で、どちらもご機嫌になって話が弾みました。筆者は手ぶら同然で帰ることができて、本当に有り難かったのです。だから、そんな気持ちを「ありがとう」という言葉で息子に伝えられたことが何より良かったと思います。

「ありがとう」は人を明るくする愛の言葉ですし、人間関係を良くする魔法の言葉です。息子も自分が役に立っていることに自信と喜びを感じて、素直に心の内を吐露するようになりました。筆者も、息子がどんなことに悩み辛く感じているのかを理解できるようになっていきました。夜の買い物で親子関係が変化したと言っても過言ではありません。

 

不登校というピンチをチャンスに変えましょう

現在、息子は親元を離れて社会人として元気に過ごしております。お陰様で親子関係は良好で、当時のことを懐かしい思い出として話すこともあります。息子の給料で炭火焼肉をご馳走になったことがありましたが、お腹だけでなく有り難さに胸もいっぱいになりました。息子の不登校は本当にしんどいものでしたが、親子で悩み、もがきながら共に成長した出来事でもありました。最初は上から目線だった筆者ですが、徐々に息子と目線をあわせて話ができるようになりました。新しい親子の絆が生まれたような気がします。

親は無意識のうちに「子どもに舐められてはいけない」と思い、上からものを言ってしまいがちです。しかし、お互いをひとりの人間として尊重し、共に成長するという相互関係こそが親子の幸せな在り方ではないでしょうか。

だからどうか、不登校というピンチを素敵な親子関係を築くチャンスに変えてください。大人になってからも良き相談相手として付き合っていけたら心強いですよね。そして何歳になっても肩を並べて仲良く歩く親子になれたら、最高だと思いませんか?

[執筆:山下 響子(心理カウンセラー/学習教室主宰)]
著書『我が子が不登校になったら?! 5つのNGなことを知り「急がば回れ」でうまくいく!!』ほか

※画像:zon / PIXTA(画像はイメージです)

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