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Z世代に学ぶ生き方「自分らしく生きているだけ!」
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Z世代に学ぶ生き方「自分らしく生きているだけ!」

職場や教育の現場で、Z世代への接し方に戸惑っているあなたへ。社長秘書、ゆとり・Z世代の子育て、15年間のべ1500人以上の大学生の就職支援をしてきた筆者から、世代を超えた人間関係を「面白くて豊かな世代交流」にするコツをお伝えします。

 

世代の特徴は社会の特徴

日本人は、型にはめるのが好きですね。昔から社会現象に合わせて、世代がカテゴライズされてきました。団塊の世代に始まり、新人類、しらけ、ミレニアル、ゆとり…。因みに、ヨーロッパに住む友人に聞いたところ、時代で括ることはないものの、「Z世代」という言葉は使われていたようです。最近は、インクルーシブではないということで、これも言われなくなったそうです。

Z世代とは、1990年後半~2010年生まれを指し、生まれた時からIT製品に囲まれて育った世代のことを言います。SNSを使いこなし、情報検索も得意ですね。親でさえ、自分たちが育った常識が通用しない「今」の環境での子育てに戸惑います。ましてや、自己主張できるようになってから生徒として、新入社員として迎え入れた先生や会社の先輩・上司が、「扱いに困る」と感じるのはいつの時代も当然なのかもしれません。これからのZ世代を理解し、双方の特徴を生かし合うにはどうすれば良いのでしょうか?

 

いつの時代も新世代の扱いに悩むもの

いつの時代も上の世代が下の世代に対して、「最近の若者は…」と、その扱いに悩むのはお決まりのことです。私が新入社員だった当時は「新人類」の中のバブル世代。私の子供達は、「ゆとり世代」。私より年上の夫の世代は、「しらけ世代」と呼ばれたそうです。

時代は常に変化します。特にここ30年の変化のスピードは目覚ましいものがあります。バブル世代=華やかな時代と言われますが、個人がパソコンを持つことはなかったし、携帯電話といえば社長クラスのハイヤーに設置されている特別なものでした。家庭に一台の固定電話の時代です。今の時代からは考えられない不便な時代だったことになりますが、世の中をもっと便利に豊かにしようという勢いがあった時代とも言えます。あっという間に当時夢だった世界が物質的には現実になりましたが、かつての不便さを知らずに生まれてきた世代が、どのような生態系を織りなすのかまでは想像できなかったかもしれませんね。

 

学ぶのは誰?

親は子供を育てる、先生は子供達を教育する、上司は部下に指示を出す…。常に年少者は年長者から学ぶべきという感覚、無意識に持っているように感じます。特に日本人は年齢を気にする文化があります。「今」を同時に生きるとしたら、上の世代が今の世代から学ぶことは、たくさんあるはずです。上の世代がつい「理解できない」と否定的に見てしまう「Z世代の個人主義的な感覚やコミュニケーションの乏しさ」も、ある意味「個人の世界観」を持っているということ。その領域に踏み込まれないように境界線を作れる」という点では、「自分らしさ」を知っているとも言えます。

実は、「理解できない・コミュニケーションの乏しさ」と若者世代が言われることは、いつの時代も同じだと思いませんか? バブル世代の筆者たちも、当時のおじさま方からは、「付き合いが悪い」「若者同士で楽しんで…」「言葉遣いがなっていない!」など、世代間のコミュニケーションのズレを嘆かれていたものです。

 

ファッションから時代を見る

感性が豊かに発達する青春時代を生きた社会環境が違うのだから、育まれる感性が違ってくるのは当然です。テレビを見るよりYouTube、親の目を気にして電話をする経験がないのだから、知らない相手と電話で話すなんて無理。電話帳も時刻表も知らないし、待ち合わせに苦労するなんて、想像もできないのがZ世代。もう、無理に合わせようと躍起になるより、お互いの価値観、行動パターンの違いをおもしろがって、双方試してみるのもいいのではないでしょうか?

ファッションの世界では、30年前に流行ったスタイルが巡ってくるということがありますね。子供達の洋服の流行を見て、「お母さんが子供の頃も、こんなスタイルの洋服着てたのよ!」という会話が成立する流れがくることがあります。ファッションは自分自身を表現する大切なコミュニケーションツールです。この感性が30年という時を超えて、「これ、いいよね! おしゃれ! 可愛い、かっこいい!」と楽しめるって嬉しいですよね。これまでコミュニケーションが取れない、理解できないと悩んでいたことが嘘のように、ファッションを通じて軽やかにコミュニケーションをとって笑いあえることがあるということも、年長者は頭の片隅に置いておくと良いですね。Z世代は決して個人主義で相手を受け入れないわけではなく、むしろ親世代さらに上の世代の時代の中から「おもしろがって」自分たちの文化に取り込む柔軟性もあるのです。頭の硬い古い世代にならないように、柔軟性もZ世代から学びましょう。

 

世代の違いが織りなす美しい世界観を楽しむ豊かさ

若かった頃、両親・学校の先生・会社の上司など、とにかく上の世代は「頭が硬い」「いつまでも古い時代の栄光にすがっている」「時代はもう違うんだよ!」などと思ったことはありませんか? そして「自分は、あのようにはなりたくない」「もっと、若い人の気持ちに添える大人になるのだ」とも思っていませんでしたか? でも、現実はどうですか?

変化に気づかせてくれるのがいつの時代も若者たち。若者世代が生きる社会を作ったのは、いつだって彼らの先を行く大人たち。そう、私たちが創り出した社会の仕組みに合わせて生きているのが、今で言えばZ世代。私たちが利便性・豊かさを求めて実現させた、当時の夢が現実となった世界で生きる若者たちを、単に「扱いにくい」「覇気がない」「コミュニケーション力が乏しい」と嘆く前に、Z世代の「今を自分らしく生きる」姿から、大きく変化した時代を私たちはどのように「自分らしく生きるのか」、改めて自分と向き合ってみてはいかがでしょうか?

大学でミレニアル・ゆとり・Z世代と色々騒がれる学生たちと接してきた筆者は、世代は違っても、人間の本質は変わらないと感じていました。彼らの特徴を異世代への気づきの産物として、そして、新たな感性を持つ世代へと命を繋いだ上の世代の誇りとして、人生という壮大で美しい世界観を楽しみ、共に豊かに「自分らしく」生きたいものです。

[執筆:橋 靖子(マインドコーチ/ドレスセラピスト)]

※画像:zon / PIXTA(画像はイメージです)

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